九竅をすべて閉じうる河馬となり潜水したし雑事の真昼
体にあいている九つの穴のうち、目と口は随意運動で閉じることができるし、下半身の二つは反射運動で勝手に開閉してくれる。そうやって閉じることのできないのが残る耳と鼻だが、それさえも閉じてしまえるのがカバである。想像してみると完全シャットアウトという感じで面白い進化と思う。三分くらい潜っていられるそうだ。
作者/久永草太(ひさながそうた)
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1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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