最長は五日待ちといふ寒続く冬の火葬場混雑せるゆゑ
数日前の宮崎日日新聞の社会面のトップは、県内の火葬場が混雑し、安置の長期化が遺族の負担になっているという記事だった。県内の死亡者数は年々ふえているという。私も高齢者なので、他人事と思えない記事である。生前になるべく家族に迷惑をかけないようにと思っているが、死後もなるべく迷惑をかけたくない。どうすればいいか。まずは冬場を生きのびることか。ともあれ五日待ちという亡き人の御冥福をいのりたい。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)
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1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
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