「きりはたりはたりちやうちやう」みづからの棺衣織る音聴きし白秋
この前の土曜日は柳川で北原白秋生誕140年記念の短歌大会だった。高野公彦さん、小島ゆかりさんと私の三人で白秋の短歌を語った。高野さんが選んだ六つのテーマ「動物の歌」「植物の歌」「カタカナのある歌」「オノマトペの歌」「人を詠む歌」「色彩のある歌」にしたがって歌を選んだ上でのトークで楽しかったし有意義だった。「きりはたりはたりちやうちやう血の色の棺衣(かけぎ)織るとか悲しき機(はた)よ」は当日取り上げられなかったオノマトペの歌で、この歌を詠んだときの白秋は二十二歳。憂愁の青春。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
コメント