大空と大草原の境界線太く駆け抜けるフフホトの馬
北京に短期留学していた時、内モンゴル自治区に旅行に行った。モンゴル民族の歌や踊りを鑑賞し、羊の肉を食べ、星空を見て、パオに泊った。そこで私は初めて馬に乗った。思いもよらないことだったが、私は乗ってみたら怖くて泣き出してしまった。現地の青年が見兼ねて、一緒に乗って馬を走らせてくれた。「僕が抱いててあげるから大丈夫だよ」と彼の言った中国語が忘れられない。それから私は落ち着いてきて、やっと顔を上げることができた。草原の風が気持ちよかった。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。
コメント