ふるならばふれよと思ひ迫りたる若さかなしもさらさらの雪
久永さんの歌の歌い出し「ふるならばふれ」を読んだとき、恋の歌と思った。つきあいたいという私の願いを振るなら振ってみろ、と。だが、あとまで読んだら、雪の降る降らないの歌だった。いや、やはり「降る」の歌でなく「振る」の歌ではあるまいか。そう読むと、恋の願いが成就して仲良く二人でシーザーサラダを食べている歌になる。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)
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1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
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