君の絵にひげ描いた日よいたずらと呼ぶにはあまりに真剣だった
乃上さんの歌から「いたずら」の一語を摘もうと思って、自分の子どもの頃のいたずらを思い出そうとしたのだが、なかなか思い出せない。たぶん、いたずらをするとき子どもの頃の僕はそれをいたずらだと思っていなかったのだと思う。幼稚園生のとき、となりのリョウタが描いていたお父さんの絵に、ヒゲを描き足してあげたときも、それがとても素晴らしいアイデアだと信じて疑わなかった。なのにリョウタは怒って、サインペンで僕の顔面に直接ヒゲを描いてきて、そこからは喧嘩である。お風呂まで消えなくて泣いたっけ。
作者/久永草太(ひさながそうた)
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1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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