No.375/2025年1月9日【酒・せし】 いたずらな酒の妖精 万物と会話せしむる酔語あやつる

乃上あつこ

昨日、伊藤先生が挙げた牧水の歌の二首前にこんな歌がある。「われ車に友は柱に一語二語酔語かはして別れ去りにけり」(若山牧水『海の声』)酔い心地が楽し気で、リズムも良い。酔語なら物とも会話ができるらしい。私は酔うと眠くなってしまうので、そんなに大笑いしない方だ。もしも細々と何かと会話し始めたら、酒の妖精の仕業なのでそっとしておいてほしい。

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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