噴水がもう一度高く上がったら きみは少年 手と手をつなぐ
誰もが幼少期を経験している。ふとした瞬間に、子ども時代の面影を感じることがある。今は陽気な人でも、子どもの頃は内気だったとか、もちろんその逆もある。人は長い時間を経て、今に佇んでいる。先日、冬空のもと日比谷公園を歩いた。噴水は高くなったり低くなったりして、水は変身し続けていた。そんな時、偶然に賭けてみたくなる。もう一度あの高さの噴水が来たら、魔法のようなことが起きるかもしれない、と。少年期のきみを癒せるかもしれないと思うのだ。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)
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1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。
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