赤ワインがイエスの血ならば苺の赤イエス産みたるマリアの血潮
今日はクリスマス。イエスといえば、塚本邦雄の小説『荊冠伝説』を思い出す。決してキリスト(救世主)でない、ナザレのイエスだ。イエスとユダは双生児、イエスの父は彼に十字架刑を言い渡したピラト。ということはマリアは処女懐胎でなく、ピラトと過去に交わったということだ。塚本邦雄は断定しているのではない。読者がこのように読めるように巧みに小説を展開しているのだ。塚本のイエス作品のよき理解者だった笠原芳光は見事な「逆信仰」を読みとっている。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)
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1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
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