天敵のごとくに我を見つけては鳴くヒヨドリをとっては食わず
鹿は病院には来ないので山で見かけるばかり。それも、僕が気のついたときには「ピィッ」と鋭い声で鳴いて去っていってしまうはしこさである。パッと見たところあんなに角を生やしている鹿の方が僕の100倍強そうなのに、それでも人間は天敵に見えて恐ろしいのだろうか。ヒヨドリも、とまっているその木の下を通り過ぎる間じゅう、それはそれはけたたましく鳴く。わかったわかった、すぐあっちいくから。
作者/久永草太(ひさながそうた)
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1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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