No.334/2024年11月29日【海亀】 満月につよく抱きしめられているわたしは海亀 涙をながす

乃上あつこ

とっくりのセーターは首まで暖かいくて、ふんわりと抱きしめられたような気持ちになる。そう思うのは、俵万智さんの短歌「たっぷりと君に抱かれているようなグリンのセーター着て冬になる」を覚えているからかもしれない。月光もとても強く浴びると、大きな大きな月に抱きしめられているような気持ちになる。優しくされるとふと涙が出てしまうのは、普段無理しすぎているからだろうか。

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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