瑕のない朝の光が射している もう川に立つ鷺のあたまに
地球温暖化は、ある限界を超えると、もう止めることができなくなるそうである。私たちはすでに、それを超えてしまっているのかもしれないと思うことがある。
アメリカでは今後、化石燃料の増産が進むだろうし、戦争による炎もいつまでも止まらない。
それなのに、朝の光はいつものように新鮮なふりをして射してきて、希望のような幻を見せる。
それに騙されながら、秋の朝の橋を渡っている。
作者/吉川宏志(よしかわひろし)
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1969年宮崎県東郷町生まれ。京都市在住。「塔短歌会」主宰。第1歌集『青蝉』で第40回現代歌人協会賞を受賞。今年、第9歌集『雪の偶然』で第58回迢空賞受賞。最新歌集『叡電のほとり』を今夏刊行。
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