No.327/2024年11月22日【ラフ】 「どんなバラの詩よりもバラの花がいいよ」ラフなシャツ着て谷川さんは

伊藤一彦

谷川俊太郎さんの訃報が届いた。これまで詩やエッセイをたくさん詠ませてもらってきて、もっと谷川さんの言葉を読みたかった、20年近く前になるだろうか、谷川さんと宮崎市で二度対談したことがある。谷川さんの愛読者である私には嬉しい対談の機会だったが、谷川さんはラフな服装で颯爽と舞台に現れ、人生と世界についての深い話を真率にユーモアを交えてしてくださった。そして、言葉の天才にして、言葉に対して謙虚だった。この対談は「ホームホスピス宮崎」の市原美穂さんの企画であり、老いや死も当日のテーマの一つだったが、谷川さんは「死」について「死んだ後も自分はいると思っている。死んだら何もかも亡くなるというのは妄想だ」と語った。谷川さんは残されたくさんの詩集とともにいまも私たちの側にいる。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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