No.326/2024年11月21日【ラ・フランス】 吞み込んだ言葉ある夜のラ・フランス内部褐変してゆく心

久永草太

好きな果物番付をつけるなら、和梨と洋梨が東西の横綱を張って、大関にみかんあたりが来る。いちごには行司あたりをやってもらおうか。先日もラ・フランスをもらって、そろそろ熟したかと思って切ると、中心がドロドロに傷んでいた。内部褐変といい、過熟によってそうなるらしい。ともかく悲しい。人間も不満を吞み込みすぎると、夜中にぐらぐらと思い出して腹が立って、内側から腐るように思う。内部褐変せぬよう、不満は熟する前に伝えるべきと思うけれど、うまくいかない。

作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。

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