逝く秋の玄界灘の風の尾に切られつつ壱岐に曾良を偲べり
先週の週末に壱岐を訪れた。国民文化祭の「島の祭展」プレ大会の講師に招かれ、一度は行ってみたかった壱岐の土を初めて踏んだ。博多港からジエットフォイルで渡った。芭蕉に師事し『おくのほそ道』の旅に随行した河合曾良は旅先の壱岐で身罷っている。曽良の墓に地元の人たちの案内で詣ることができた。また釈迢空の有名な「葛の花踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行くし人あり」の歌碑も訪ねることができた。壱岐を愛し暮らしている人たちとの熱い二日間の余韻がまだ残っている。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)
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1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
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