No.308/2024年11月3日【銀】 百年なんてちょろいものよとあおぞらに呑まれながらに大銀杏(おおいちょう)立つ

吉川宏志

先日、宮崎市に帰った折に、生目(いきめ)神社に参拝した。あらためて凄い名前だと思う。近くには生目小学校などもある。壇ノ浦の合戦ののち、日向の国に落ち延びてきた藤原景清が、源氏の世なんぞ見たくないと、目をくりぬいた。その目を祀ったのがこの神社だという伝説を聞いたことがある(諸説あります)。ここの境内には、四百年を超えるというイチョウの木が立っている。スマホの縦型の画面にも、木の全身は収まらないのだった。

作者/吉川宏志(よしかわひろし)

1969年宮崎県東郷町生まれ。京都市在住。「塔短歌会」主宰。第1歌集『青蝉』で第40回現代歌人協会賞を受賞。今年、第9歌集『雪の偶然』で第58回迢空賞受賞。最新歌集『叡電のほとり』を今夏刊行。

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