No.306/2024年11月1日【はろう】 破漏有(はろう)の身なるにんげんのあふれゐる街に悪魔はおそれ近づかず

伊藤一彦

昨日のハロウィンは渋谷をはじめとしておおきな街では大変だったようだ。ハロウィンで仮装するのは、悪霊や魔女などから身を守るためである。つまり同じ仲間と思わせて襲われないようにするのだ。しかし、最近の世の中をみていると、仮装しなくてもじゅうぶん悪霊や魔女のような人間が増えている気がする。人が本来もつべきヒューマニティの大切な嚢(ふくろ)が破れ漏れているのか。私の嚢はどうか。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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