反出生主義に夕映え 悪意なく羽化するキオビエダシャクきれい
その名の通り、黄色い帯模様に光沢のある体をもつキオビエダシャクという蛾がいて、とても綺麗なのだけれど、温暖化の影響か、南九州では近年立て続けに大量発生している。イヌマキを食い荒らすというので害虫扱いされているが、彼らは彼らで受動的に誕生させられてやむなく食事をして生きているにすぎない。反出生主義を提唱するデイヴィッド・ベネター著『生まれてこないほうが良かった』を読みつつ、眼裏をあの綺麗な蛾が舞う。
作者/久永草太(ひさながそうた)
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1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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