No.283/2024年10月9日【敵】 素敵とう言葉の中に敵がいてひと褒めるとき法螺貝を吹く

久永草太

「素敵」というのは当て字だそうで、「敵」の字にさしたる意味はないらしい。ちょっと調べると、江戸時代には「素的」の表記があったようで、なるほどそちらの方がしっくりくるように思う。褒め言葉に物騒にも「敵」の字を当てた最初の人は、単に書き損じだったのか、いやもしかしたら、褒めつつも腹の底で嫉妬の煮湯をたぎらせているような人だったのかもしれない。

作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。

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