べつとりと返り血つきしあれはいつ あれより敵は友となりたり
今はおだやかそうな高齢者の私だが、20代30代のころは相当激しい議論をしたように思う。切られることを覚悟して切り込んだり、切ったり切られたり、真剣勝負だった。俺の言うことがどうして分からないかとつめより、最後は腕力で決着をつけようとしたこともあった。時代もそういう風潮があった。今は、人は人、人それぞれ、の風潮のような気がするが、どうだろう。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)
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1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
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