No.281/2024年10月7日【火】 返り血を浴びたるような心地して夕陽の中にほどく火のいろ

乃上あつこ

『古事記』の中の矛盾は、編纂の瑕疵ではなく、人間の心理や行動が矛盾を含んでいることを表していると思う。神の世界はともかく、母から生まれない人間はいない。「ないものはない」と言われても「母がいないわけはない」と、心は反応する。有と無の二元論に陥る人間の状態について考えさせられる。

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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