ローレライの歌声深く包む夜の夢の底にてきみの手を引く
昨日の伊藤先生の歌の結句「なじかローレライ」を調べてみた。唱歌『ローレライ』は「なじかは知らねど」という歌詞で始まる。ローレライ伝説がもとになっているハイネの詩を、近藤朔風が訳したそうだ。「なじか」は「なぜか」の古語。ローレライの歌う「神怪(くすし)き魔歌(まがうた)」とは、どんな音色だったのか考えてみる。こんな風に思いを馳せる時、人はすでにローレライによって手を引かれているのだろう。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)
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1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。
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