灯台は白きまち針 こんなにも言葉が埋まる陸地の先の
灯台にたどり着くと、頭の中で巡っている思考が一旦止まるような気がする。それは海が目の前にあるからか、風に吹かれるからか。陸地で溜め込んできた言葉は、海では通じなくなるかのようだ。言葉は通じることで役割を持たされすぎた。秋が進んでいくと、伊藤一彦先生の歌「深秋はいたく納得すたましひは胸ならず皮膚にあるといふ説」を思う。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)
1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。
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