No.271/2024年9月27日【ガバリ】 更けるほどガバリ抱きたい秋の夜 灯台白く近づいてくる

伊藤一彦

草太さんの「ガバリ」の一語を摘んだ。「ガバリ」の語からすぐ思い浮かべるのは 西東三鬼の「水枕ガバリと寒い海がある」の句だ。私は作歌を始めたころ、俳句も よく読んでいた。山本健吉著『現代俳句』(角川文庫)は愛読書であり、いまでも 赤茶けたその一冊をもっている。多くの俳人が取り上げられている中に三鬼も入っ ている。私は三鬼に惹かれ『西東三鬼句集』を読みふけった。なぜ三鬼だったかは 簡単には言えないが、三鬼の句に出あってよかったことだけは記しておこう。 三鬼は大森さんの故郷の岡山県の出身で、小見山輝著『俳句の鬼 西東三鬼の世界』 (岡山文庫)も大事に持っている。大森さん、三鬼の作品はどうですか。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

コメント

タイトルとURLをコピーしました