久永草太

英論文読み終えぬまま宙吊りの測鉛の重み眼に肩にくる 最近疲れ目がひどい。眼球が常にパサパサして...

崩落の危機迫る夜の猪口ちょこ一つ水切りカゴの岬に載せる 掃除機をかけようと思うと部屋を片付けね...

牧水が産まれ直して呑みにくるほどのうまさよ鍋島の味 最初に飲んだ日本酒は青森の「田酒」で、これ...

そんなもんないけど海月くらげのあばら骨折れたみたいな傘まだ使う 咳のしすぎで肋骨を骨折すること...

連休を比喩するように熱湯を注いで割れたガラスのコップ ゴールデンウィークが今日で終わる。山にも...

鋼はがねではなく針金の決意なりぐにゃり曲がって早起きやめる しばらくのうちはちゃんと起きていた...

見上げればうらがわばかり水楢みずならの樹が吸い上げる水になりたし 葉っぱの裏には気孔があって、...

パスポートめくって辿る渡航歴みたいだ君に借りた本読む よく本の貸し借りをしていた友達（本の読み...

恋ヶ浦こいがうら通りて夫婦浦めおとうらへ行く道の怪しさこの九十九つづら折れ 串間・都井岬から海...

限りなき資源のように潤沢に謝罪ばかりが湧き出す油田 政治家の揶揄、のつもりで詠んだつもりのこの...