乃上あつこ

夏至の日を過ぎて始まる引き算のわれも光を吸った一人か 冬至から夏至までは太陽の光が足し算のよう...

君の背の蛍よ蛍　太宰忌の正しい過ごし方をおしえて 今日は桜桃忌。太宰治は1948年6月13日に...

湖に白鳥一羽浮いている春はじめての円形脱毛 職場の後輩が初めて円形脱毛症になって驚いていたら、...

同義語はパンダかもしれず薄紅のヴェールを剥げば無糖のさくら 桜は春の販促物かのように、ピンクの...

南瓜とう言葉かわゆく響くなりおもちゃのチャチャチャかぼちゃのチャチャチャ 中国出身の友人に言わ...

一生にメールアドレスいくつ持つ@アットマークの閉じない眼まなこ 魚類には瞼がないが、@(アット...

星屑語の文法わからぬわれのため星全身で光ってくれる 外国語を話す機会が多いが、日本語も英語も中...

大空の足裏あうらをくすぐるバドミントンラケットふたつ夏をむかえて 天気のいい初夏には、バドミン...

街灯に白い眼玉が吊るされて雨降る夜はすこし膨らむ 伊藤先生は、空にも海の波にも眼を感じるという...

測鉛を投じて測る千年のうたの深海ゆく潜水士 短歌の味わいは広くて深い。軽々と大勢に届き親しまれ...